グランマルシェは地域自治会さんのご要望から素人だてらに始まったものなんですとご紹介しています。小林の本業の関係で地域の多種多様な企業にルートがありまして、お肉もその一つから取り急ぎお願いして仕入させていただけるようにした経緯です。 グランマルシェでは宮崎の牧場の黒毛和牛のお肉が中心、国産牛のホルモン、輸入牛のお肉を扱っています。100g2000円だの2500円だのするお肉をスペシャルに仕入させていただいて、半額程度で販売してきました。品ぞろえを増やそうと動いてみてはじめて、とっても特別に仕入れさせていただいてきたことを思い知ることになります。
今回お肉のコラムを取り上げるのは、日本人がたんぱく質不足で疲労や心身の体調不良を引き起こしていることがわかってきたことからです。高齢者の健康寿命研究では、高齢者でお肉をよく食べる人の方が健康寿命が長いことが報告されています。牛肉由来のたんぱく質(ホエイプロテイン)を摂取することでうつ病や婦人病が改善されることがわかっていますが、大豆由来のたんぱく質(ソイプロテイン)では同様の結果になりません。アスリートは「ホエイプロテイン」を摂取してソイを摂取しません。
- グランマルシェがお肉の仕入にてこずるワケ
そんな背景からグランマルシェもお肉の品ぞろえを強化したいのですが、なかなか思うようにいきません(>_<)
お肉以外の商品はどんどん仕入先開拓が進み、多様化してきていますが、お肉は当初の仕入先から変わらず1社仕入れのままです。より安くよりよいものをお届けするのに東京や地方都市等の遠方まで出張して開拓してきましたが、お肉は難航を極めています。
複数の食肉業者さんと商談しますと、現在仕入れているお肉の同等品質商品を同等見積もりでというのは無理だと、大手はじめとして逃げていかれてしまうのです。
グランマルシェは、お肉をカットする設備や許可もない上に、大量仕入れもできないので、基本的にコスト交渉力がないのです。
グランマルシェ初期(4年前)のころ、オージーのトップサーロイン(ランプ、イチボ等)200gで780円で販売しており、大好評でした。実際に臭みがなく赤身なのにパサつかず柔らかいよいお肉でした。今も覚えているお客さんに「あのお肉は入らないの?」と尋ねられるほどです。それは大量仕入れしていた飲食店から200カットしたお肉を小分けで分けてもらっていたので実現できていました。コロナでお店を廃業される際に、仕入先に相談しましたが、200gにステーキカットしてしかも少量は値段に関係なく取り扱いできませんとあっさり断られてしまいました。
お肉の仕入はハードルがいろいろあって難しさを実感してきました。 - 食肉業界の体質
ごまかしも多いです。例えば、大阪の繁盛しているある食肉卸さんに、見学に行き社長さんと商談しました。良質な国産牛を安く卸しているとの言葉を繰り返し聞きました。どこも黒毛和牛という言葉を売りにするので、自分たちはあえて国産牛としか看板に書かないポリシーなんだとか…値段の安さ(グランマルシェで販売している牛肉に比べるとそんな安い感じはないのです)の話など色々聞いて、可能性を感じサンプルを購入して試食することにしました。そういうと社長さんが購入したお肉以外に沢山のサンプルを無償でくれました。違和感ありあり…。普通の仕入の人はコストをかけて試食などしないで見た感じと聞いた話で仕入れるんでしょう。あとからそれに気づきました。
食べてみるととっても残念なお味…メンバーは期待していただけに大ショックでした。「看板に偽りあり」だったわけです。私たちはそういう販売は絶対にしません。
ダメな理由は、「黒毛和牛」ではない単なる「国産牛」だからです。ポリシーではなく違法なので「黒毛和牛」の看板を出せなかっただけだったわけです。
こんなに違うのかと愕然とするほどの味と食感の差でした。味がない…甘みもない。タレの味で無理やり食べる感じで…これでこの値段はないだろう!ということでボツ。社長さん私たちが専門知識がないと見て、国産牛と和牛をあたかも同一のものと混乱させて上手に丸めこもうとしたんでしょうね。
知らない人には丁寧に教えてあげるのが普通だろうと思いますが、知らない人を騙してやろうとする人がなんだか近年大量に出現していて憂鬱になります…
ほんまコワイです。不景気とかより人の心の貧困の方がコワイですわ。 - 牛肉についてイチから勉強しました
そんなこんなでグランマルシェは調べ始めるわけです
「和牛」→
これは特定品種の牛の商標です。黒毛和種・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4品種とそれらの交雑種のことを指します。最近は外国で飼育されるこれらの品種も和牛として販売されますが、種類を指すので正しい表記です。全体のおよそ90%を占めるのは黒毛和種、いわゆる「黒毛和牛」です。和牛は牛肉の中で品質が特に優れているため、わざわざ国産牛と表記することは通常ありえません。
和牛の地域ブランドがどんどんできていきました。有名になっているのは「神戸ビーフ」「松阪牛」「近江牛」「飛騨牛」などです。ルーツはなんと「石垣島の牛」です。その牛の種を、「出雲」と「但馬」で飼育しはじめて、どんどん改良を重ねました。但馬牛が各地に広がって各地のブランド和牛となっていったのです。ということで、「出雲」にはいった和牛はそのまま広がらずに今も飼育されていて「奥出雲牛」として大変希少で高価なお肉として販売されています。
「国産牛」→
日本で飼育・加工された牛を指します。しかし、外国で飼育した牛を輸入し、日本で飼育した後に加工した場合も国産牛として表示することが可能です。
和牛4品種とは違う品種の牛です。国産牛のほとんどを占める種類は「ホルスタイン種」ですが、他にも「交雑種」や「アンガス種」、「ヘレホード種」などがあります。
ホルスタイン種は乳用種と呼ばれ、メスは乳牛、オスの子牛は食用として飼育されます。交雑種は和牛とホルスタイン種を掛け合わせた品種です。アンガス種やヘレホード種は牛肉の世界三大品種の一つです。アンガス種やヘレホード種は海外で多く飼育されているため、輸入牛の銘柄として考えている方も多いかもしれません。しかし前に述べた通り、日本で飼育した牛であればアンガス種やヘレホード種であっても国産牛となります。国産牛と一口に言っても複数の品種があります。
乳牛で有名なホルスタイン種を牛肉として食べているのか?と驚かれた方もおられるのではないでしょうか?私も驚きました。牡牛を食肉にすると知って少し理解できました。
チェーンの牛丼屋が安いのは、乳牛であるホルスタイン種の牛乳の出が落ちた年齢を重ねた雌牛(利用価値がなくなった)をお肉にして使っているからです。だから紙のように薄くスライス(そうしないと硬くて食べられない)して、濃いタレの味で食べさせちゃう作戦ですね。吉野屋さんが第1回目の倒産をしたのは薄味好みの関西出店が失敗したからと言われています。うまいはずがないでしょということです。濃い味タレ丼やったというわけです。SDG’Sとかない頃から日本人は「もったいない」精神の民族だったことを思い出します。食品ロス軽減の意味ではとっても意味のある事業だと思います。
その他のお肉の表示でよく見かけるのは
「交雑牛」→
品種を混ぜて作った牛。主に乳牛のホルスタインと和牛の組み合わせです。
「経産牛」→
出産を終えた雌牛。雌牛は牡牛よりお肉が柔らかいとされていますが、出産を経て年齢を重ねた牝牛は食肉用としては品質がよくなくなります。
牛肉の品質は牧場の飼育方法によってかなり変わります。様々な飼育技術も開発されています。 - 牛肉に使われる添加物について
グランマルシェでは販売時にお肉に薬品を塗ったりしませんが一般的にはお肉に見栄えが良くなる薬品を塗って販売されていると知ってびっくりしました。
何を使っているかというと「見栄え」をよくするための「発色剤」「酸化防止剤」等です。
例えば、アスコルビン酸。酸化防止剤です。 食肉に使用すると古い肉を新鮮な肉に見せかけることができます。 褐色になった古い肉にアスコルビン酸やアスコルビン酸ナトリウムを振りかけると鮮やかな赤い色になります。牛肉は元々茶褐色なんです。酸素にふれると鮮やかな赤に変色します。一般的には鮮やかな赤のお肉が新鮮でよいお肉と感じるように刷り込まれていますが、それは正しいこととは言い切れません。新鮮なお肉は元々は茶褐色なのです。そこから変色した色が赤色で、そこから酸化が進んで茶褐色にもどっていきます。
それを鮮やかな赤に戻して色をキープする薬剤を使うのが通常の販売現場のようでして、これには驚きました。実際に鮮やかな赤い色のお肉はよく売れるようです。そら私達消費者はそんなこと知らないですからね…茶褐色のお肉と、鮮やかな赤のお肉を見たら、私も赤に手が出ると思いますもん。アスコルビン酸は無害と確認されていますが、防腐剤の「安息香酸ナトリウム」(清涼飲料水などに多く使用)と結合すると有毒なベンゼンが生成されるんですと。消費者団体が厚労省に意見書を提出しています。
「見栄えのため」(見栄えのためですよ!!)に化学薬品を使ってもらいたくないと私たちは思うのですよ。グランマルシェのお肉は自社牧場からのお肉を自社の焼肉店で出されるため、カットしてすぐに真空パックして冷凍しています。それを分けてもらっていますので、薬品を塗っていません。
グランマルシェの牛肉は鮮やかな赤ではなく茶褐色です。見栄えが茶褐色でも鮮度が悪いわけではありませんのでご安心ください。真空パックから中身を出すと酸素に触れて赤く発色することがあります。またパックから出すとカサが増えます。
みなさんに安心して食べて頂ける食品をお届けするように勉強していきますね。