わが国で人間国宝に認定されている方は200名ほどしかおられません。
村山先生の工房を訪問させていただいたのがきっかけでおつきあいが始まりました。
黄檗料理をご一緒したりして、作品のみならず先生のお人柄にも触れさせていただいて、皆様にご紹介したいと思いました。
村山先生は木工作品を製作されています。木材の選定などの始まりから、漆を塗って仕上げるまで、全工程を材料の仕込みから全てご自身でなさいます。
元々の村山先生ファンでは女優の八千草薫さんがとりわけ熱心でおられたと伺っています。
全国の有名百貨店、美術館等で展示会が催されています。私どもの文化祭にご出展いただくなどとても畏れ多い限りだったのですが、お人柄に甘えましてご相談申し上げたところ、ご快諾頂きました。本当に尊いことで感謝に堪えません。
先生の作品を実際に拝見して個人的に感銘を受けましたのは
- 曲線美
- 木目の流麗
- 色彩の深い和の静けさ
- 凛々しい存在感
です。存在感の凛々しさに対してディテールの繊細な表現は絶妙のバランスです。
これはまさに名人の達した領域だと息をのみます。
ナチュラルなウッドの家具はおしゃれで素敵ですが、先生の作品はナチュラルな素材の木を使いながら完全に村山先生の世界にコントロールされている印象を受けます。そのためおしゃれという言葉は似つかわしくなく、心に刺さるものがあり、息を飲んで見入ってしまいます。
そんな重厚な作品を製作される村山先生のお人柄を直接触れた印象でお話しさせていただきます。外見は恰幅ある威厳あふれたお方(TVCMに出ておられたくらいの存在感)ですが、実際は気さくで笑顔が素敵な温厚なお人柄です。私たちのような右も左もわかっていない素人が見学に伺った際も、丁寧にご対応くださいまして、大切な木材などを惜しげもなく見せて下さり、比較的大きな作品も奥からわざわざ出してきていただいて見せてくださいました。お酒がお好きで、笑顔がキュート(申し訳ありません)。ぼそぼそ話されるお話にはそれも惹きつけられます。
私たちは作品にもお人柄にも心酔し、みなさんにご紹介したいと思いました。
作品はもちろん全て1点もので、一生ものの資産になるものです。美術館で見る作品を、嵐山文化祭で是非、先生直接の説明を伺いながら鑑賞できる機会を満喫ください。
村山 明(むらやま・あきら)
重要無形文化財「木工芸」保持者重要無形文化財「木工芸」保持者。木工芸の人間国宝では8人目の認定者である。日本工芸会理事、京都工芸美術作家協会副理事長、京都市芸術文化協会評議員。京都市立美術大学美術科彫刻専攻出身。